「それでは今日の授業はここまでです、皆宿題はちゃんとやってくるのよ」
終礼の挨拶を済ますと生徒達はわいわい盛り上がっていた
「なぁ、」
友達の1人が俺を呼んだ
「明日からの夏休みどっか用事とかあるのか?」
「いや、特には…ほら俺の家誰もいないし」
「ふ〜ん、そっか…じゃあ来週にでも遊びに行くか?」
「う〜ん、どうしよっかな」
「お前、来年からは受験なんだぞ。今年遊ばずに何時遊ぶんだ?」
「そうだね、それじゃあ来週遊ぼっか」
「よしそれじゃあ来週な、俺今から部活だ行ってくるわ」
「うん、頑張ってね」
そう言うと俺は手を挙げて教室から出て行く友達を見送った
(無理だろうなきっと…部活があるんだし)
俺は立ち上がると何も入っていない鞄を片手に教室を後にした
俺の名前は ごく普通の高校2年生…訂正ごく普通でもない
「ただいま〜って誰もいないよな」
俺は自宅のマンションに着き靴を脱ぎ捨てリビングにカバンを置いた
「ん?誰からか留守電が来てる」
ピッ、ただいま1件の伝言をお預かりしています。新しい伝言1件目
お母さんです…お父さんがちゃんに言えないからお母さんが話すけど…ちゃん、もうすぐ受験生になるけど大学に行かないで私達のピッ…
俺は留守電の消去ボタンを押した
「…はぁ」
俺が1人暮らしを始めたのは丁度中学を卒業した時だった、父さんと母さんは有名な貿易会社の社長と重役秘書らしく今まで日本で発展させていた
会社を海外にまで進出させようとした。その結果見事に成功し今では時々だがテレビに出るぐらいの有名人になった家もこれで安泰だ、何よりじゃないのか
「はぁ〜…まだこんな時間か、ゲームでもするか」
テレビを点け買ってきたばかりのゲームのパッケージを開けた、1人暮らしになってからと言うものの両親から毎月余るぐらいのお金を貰っているので
ゲームや好きなものを買えていた…まぁ、これだけが唯一の楽しみかな
2時間経ちは仰向けで倒れていた
「疲れた〜、まぁこんだけやれば疲れるよな普通」
は時間を見ると6時を過ぎていた
「飯でも作るか」
はテレビを消しキッチンにある冷蔵庫の中を見た
「何も無いって…はぁ、コンビニで弁当でも買うか」
靴を履き、俺は玄関を出て近くにあるコンビニに向かった
「あれ、〜」
コンビニに着くと学校で最後に会った友達が俺に近づいてきた
「よぉ、今帰りか?」
「まぁな、それより話しが変わるけどお前あのゲームどこまでやった?」
「あのゲームって…あ、月姫の事か?」
俺はそう言うと友達は頷いた
最近貸してもらったゲームは月姫ぐらいだしゲームの話しが来るなら何となく予想ができた
「一応最後までやったよ、歌月十夜も終わったし」
俺は今日の夕飯の弁当を選びながら話した
「えっ、まじで?貸してくれ、頼む!」
「いいよ、それなら俺の家で飯でも食ってく?」
「いいのか?」
「あぁ、俺の家は誰もいないし断る人なんていないから大丈夫だよ」
俺が笑って言うと手に持った弁当を元の位置に戻しコンビニを後にした
「ただいま〜」
「おじゃましま〜す」
俺の家に着いたのはそれから1時間後の事だった、俺は晩の食材を袋から取り出し台所の戸棚から鍋や包丁を取り出した
「何か手伝うこととかあるか?」
友達がキッチンに来て腕まくりをした
「いや、すぐに作るからTVゲームでもして遊んでてよ」
「悪いな、何も出来なくて」
「いいよ、まぁ少し待っててよ」
俺は両親が家に来なくなってからというものの弁当ばかりの生活だと体に悪いと思い自分で自炊するようになっていた、たまに作るぐらいだけど
それなりにレパートリーはあるつもりだ
「よし、出来たぞ〜」
約30分後キッチンの隣にあるテーブルに料理を置くと友達がゲームを止めてキッチンにやってきた
「相変わらず美味そうな飯を作るな〜お前」
テーブルにある料理を見て一言そう言うと椅子に座った
「今日は中華にしてみました」
「いや、普通の男がここまで作れるものかね」
「まぁ、暇な時に作ってるだけさ。いつの間にか作る量が多くなってきてたけど」
俺はマーボー豆腐を食べながらそう言った
「なぁ、今何時か分かるか?」
「今か?今は…8時半になる所だよ」
食べ始めてから数十分、友達は時間ばかりを気にしだした
「そっか…」
そう言うと友達は黙々と料理を食べ始めた
「行けよ、明日も部活なんだろ?」
俺は椅子から離れ自分の部屋にある1つのCDケースを持って友達の前に戻った
「ほら、これが歌月十夜」
CDを軽く投げ飛ばしそれを慌てて友達はキャッチした
「だけどこれ…」
友達は困った顔で料理を見た
「ば〜か、そんな気持ち悪い事言うなって。また今度飯を食べに来ればいいじゃんか」
軽く微笑むと友達は謝り急いで家に帰っていった
(あいつも色々大変なんだなぁ…)
気配りは少しはできると俺は思っている…あいつも部活があるんだし、それに一生懸命に頑張っているのだから見守らなきゃ
それは両親が海外に行く1週間前が高校1年の頃だった
「お前に話しがある」
いつも話しなんてしてこない父さんから急に話しかけてきた
「何、父さん?」
「お前を父さんと母さんの会社の社員にしたいのだが…入社してくれるか?」
「会社を継げって事?」
「まぁ、後々そんな所だ…そのため早い時期にお前を父さん達の会社に入り沢山のビジネスを学んで欲しいんだ」
「…考えておくよ」
「そうか、時間はある。ゆっくり考えろ」
あの時の父さんが1番明るかった気がする、自分の思い通りに進んでいたのだから…だけど、あれから約1年後だ
「もしもしですが」
「私だ」
それは父さんの声だった、いつもより暗い声だった気がする
「久しぶりだね…1年になるのに全然連絡をよこさないでどうしたの?」
「色々こっちも大変なんだ…それよりお前に連絡したい事がある」
「連絡?」
「お前の入社の話しなんだが…」
ガシャン
その時は我に返り持っていた皿を落としてしまった
「まさか、実の父親にあんな言われ方をするとは思わなかったな…はぁ〜」
あの時の俺は特に勉学に励まずのんびりしていた、その結果俺はいつも真ん中のちょっと下ぐらいだった
「お前の入社の話しなんだが…無かったことにして欲しいんだ、もし父さん達の会社にお前が入り実力がばれると私達の立場も悪くなるだから」
その後の話は耳には入らなかった
「シャワーでも浴びるか…」
それからだった、俺は教科書を広げ本気で頑張った…神様はその時の俺を見ていてくれたのだろうか2年の中間テストの結果は全教科1位の総なめで生徒も教師も本気で驚いていた
俺はシャワーを浴び終えると真っ暗な自分の部屋でパソコンの電源を入れ格闘ゲームのコンボ動画を見ていた
「もしもしですが」
それは中間テストの結果が出た2日後の事だった
「私だ」
それは数ヶ月振りの父さんの声だった
「…」
「すまん、折り入ってお前に連絡したい事がある」
「急変だね、テストの結果を聞いて電話をしたんでしょ?」
「だが私はお前を信じて…」
ピッ
(あれから父さんから連絡はないんだっか)
そんな昔の事を思い出していたがパソコンの映像が目に入り過去から現在に戻った
目の前のパソコンの画面で元気に動く少年と少女の動きを目で追っていた。元々月姫をやりだしたのは格闘ゲームで出たメルティブラッドを
やりだしそして友達が持っていた月姫に興味が出て俺は初めてパソコンゲームをプレイした
「久しぶりに月姫でもやろっかな」
俺はデスクトップにある1つのフォルダを開くとキャラクターの顔のアイコンを見ていた
「楽しかったなこれ…まぁ、1度やれば話しが分かってしまうのがノベルの欠点だけど」
アイコンをクリックしようとしたその時だった
ブン
突然パソコンの画面が真っ暗になり部屋の中が黒一色に包まれた
「停電か…いや、充電している携帯は明かりが点いたままだ…故障でもしたのかな?」
パソコンの電源のスイッチを何度か押したがただ空しくカチカチ音がなるだけだった
「故障かよ、明日電気屋にでも頼んで修理にでも出してもらうか」
俺は真っ暗な部屋に目が慣れ近くのベッドにダイブしそのまま寝ることにした
「あ〜、明日から何しようかな」
俺はこの時何か面白い事でもないかと思った、そしてその願いは予想よりも早く起きてくれた
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